映画 「遺体 明日への十日間」(2013年3月11日に) | WOMANIA
2013.03.11 Monday 14:10

映画 「遺体 明日への十日間」(2013年3月11日に)

遺体 明日への十日間

先日、3.11を目前にし、映画「遺体 明日への十日間」を観に行きました。
西田敏行さんが出演された舞台挨拶のニュースを目にし「観ようかな」と
思ったものの、タイトルが語るように犠牲者の方の「死」「遺体」という
あまりにも痛烈なリアルと向き合う覚悟が出来ずに迷っていたのです。
その背中を押してくれたのは、facebookに書き込まれた先に映画を観た
友人の投稿とそれについていたコメントでした。

その日、ワタシは一人で映画館に向かいました。
何か無いと決心がくじけそうだったので、予定の前に映画を観ることにし、
場所も有楽町のスバル座を選びました。大袈裟でも何でもなく、映画館への
道のりは、地に足がついていないようなふわふわとした感覚で、
ずっと息苦しいような、胸がつまるような気持ちを抱いていました。
「映画を観る」それだけのことなのに、これから目の前で映し出される
映像に言い知れぬ不安を覚え、奥歯をかみ締めるような覚悟が必要だったのです。

スバル座

館内に入ると、映画のテーマ曲が流れているものの、とても静粛な雰囲気。
ワタシの心持ちだけでなく、いつもと違う空気だったように思います。
スバル座は今時珍しい自由席なのですが、男女問わず、幅広い年齢層の方が、
程よい間隔で座っていました。一人で来ている人が多かったみたいです。
スバル座は予告が少ないので、ほどなく本編がスタートしました。

「遺体 明日への十日間」は、岩手県釜石市の遺体安置所を舞台にした
実話にもとづいた物語。西田敏行さん演じる民生委員の方を中心に
市職員、医師、住職、葬儀社社員、市長、消防団などと震災の犠牲になった方、
そのご遺族が描かれています。震災直後の混乱の中で、それぞれが
それぞれに出来ることを考え、思い、「遺体安置所」が
その役割を担ってゆく話。地震発生時刻の少し前からはじまりますが、
津波の様子などの映像は出てきませんでした。

ただ、この映画には遺体が映し出されます。
もちろん、それは本物ではありませんが、普段、報道規定などの理由から
「守られた映像」しか目にすることが無いワタシたちにとって
ショッキングな映像であることは間違いありません。
本当はこれでもソフトに整理されていて、実際はもっとひどかったでしょう。
でも、これが事実であり、この映画の覚悟であり、メッセージだと思う。
そして、それは「お金を払ってその映像を観ることを選択した」映画だからこそ
出来ることです。ワタシはこの映画が地上波のTVで放送されることは
無いだろうと思いました。後に目にしたインタビューの中で監督は
「映画とはいえ、遺体にカメラを向けた覚悟」を語っていました。
作中に出てくる「あの方たちは死体ではありませんよ!ご遺体なんです!」
という台詞が記憶に残ります。ともすれば数字で語られてしまうことが多い
犠牲者の方たちの死も、たとえば病で亡くなった方の死も同じであること。

ワタシはこの映画は「お葬式」のようなものだと思いました。
一般的に、人は亡くなると葬儀を経て、死の世界へと旅立ちます。
ワタシはこれまで身近なひとの葬儀を経験し、「お葬式」とは故人のためだけでなく
残された人たちのためでもあるのだなと感じてきました。送り出す準備をし、
ひとつひとつの「決まりごと」を経て、心を別れのステップへと向かわせる。
あの日、震災の犠牲となった方々には、そのステップが無かったと思うのです。
当たり前のようにイメージしてきた、「人の最後」である葬儀さえなく、
ある日いきなり分断されてしまったあの世とこの世。
それを少しでも通念的な道に導こうとしてくれた人たちがいたこと、
そして、それを伝えようとこの映画は作られたのかなと思いました。

本作の俳優陣は実に豪華だと思います。
主演が西田敏行さんであることは知っていましたが、観れば、柳葉敏郎さん、
佐藤浩市さん、沢村一樹さん、酒井若菜さん、國村隼さん、緒形直人さんと
どんどん知っている人が出てきました。
彼らの演技に驚くと共に、たとえ映画という「作られたもの」ですら、
これを体験することは本当に辛く、苦しく、体力だけでなく精神をもすり減らす
行為だっただろうなと想像しました。震災は出来れば「体験したくないこと」
「あって嬉しいものではないこと」。その中にあえて身を置くということには
彼らに「仕事」以上の想いが存在しないと出来ないことだと思うのです。
エンドロールには、彼らの名前がキャリアや優劣ではなく、五十音順で
並んで出てきました。そこにもこの映画に関わった方の想いを見たように思います。

ワタシはエンドロールを迎えたとき、涙を流しながら手を合わせました。
ワタシはこれまで、映画を観てこんな風に泣いたこともなく、
ましてや手を合わせたこともありません。泣いたのは、目の前の映像に
感動したりしたわけではなく、ただただ苦しくて、せつなかったから。
事実にもとづいたストーリーはありますが、感動的というのとは違う
もっと人の感情の根底に訴えるものを湛えていると思います。
それは、衝撃的な体験でした。

感じ方、ダメージの受け方は、ひとそれぞれだと思うので、
ワタシはこの映画を強くオススメすることは出来ません。
ただ、ワタシはこの映画を観て良かったと思います。
この映画のおかげで、改めて自然と心から犠牲者の方のご冥福を祈りたいと
願うことが出来ました。死だけでなく、3.11が残した多くの哀しみを
悼む映画です。監督は批判も覚悟で作ったと言っていました。

どんなことでも、ひとつのことの詳細を語るとき、綺麗事だけでは
済まされないものがあるということ。中にはたくさんの、思わず目を
覆いたくなるような哀しい真実も、やりきれない事実もあるということ。
この映画は、2年前のあの日に想いを馳せるとき、「守られた」ものだけでなく、
こうした痛烈なリアルもあることを、改めて痛感させてくれました。

あれからもう2年。まだ2年。
1年前は、震災をきっかけに表面に見えるようになったステキなことを
出来る限りしっかりと捉えられる、気づき、きちんと受け止めたいと
思っていたワタシですが、2年経った今、今度はそれ以上の哀しみに目を向け、
心を砕きたいと思えるようになりました。これもワタシの中での3.11と
向き合うステップなのかなと思います。こうして、気持ちをつなげてゆきたい。

この日、改めて東日本大震災で犠牲となられた方々のご冥福と、
被害を受けられた方々の復幸を心より祈念いたします。




 関 連 記 事 

・「SOS!500人を救え!-3・11石巻市立病院の5日間-」

・3.11によせて (2012年3月11日に)

・「PRAY FOR JAPAN - 3.11 世界中が祈りはじめた日」




ブログパーツ
 スポンサーリンク



スポンサーリンク
プロフィール
MIKI
「ウーマニア」は、WOMANとMANIAをたした造語です。このブログに書いていることは、ワタシの個人的な感想や価値観に基づいています。また、税率、価格表記、商品情報などに関しては掲載日現在のものに由来していますのでご注意ください。許可の無いサイト内のコンテンツの引用・転載は禁止します。


  





にほんブログ村 美容ブログへ  

   

カレンダー
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

























もっと見たいひとはコチラ ブログパーツ
▼ COSMETICS
▼ FASHION
▼ DEPARTMENT STORE
▼ SHOPPING
▼ FOOD
▼ SERVICE


あなたの体験を、次のトレンドに womedia会員募集中!



ブログでクチコミ B-Promotion

ブログタイムズ

qrcode

others